昔、有馬御殿と呼ばれていた御殿が僕の家の近くにあった。
西洋風の城と日本風の五重塔があって、城のバルコニーには、鎧兜を着込んだ兵士がいたり、ライオンがいたりした。
僕はその奇妙な風景をスイミングプールに行くバスの中から眺めては、「あの鎧兜欲しいな」などと思っていた。


椎名林檎を聞いてたら、どういうわけか、そんなことを思い出した。
ちなみに御殿は知らない間に無くなり、今はマンションになっている。
きっと、違う次元にワープでもしたんだろう。


今思うと、とても日本的風景だった気がする。
庭に、松なんかも生えちゃったりしちゃってたし。
そういえば、城の屋根には瓦が載っていたような気もしてきた。


そんな有馬御殿は、今もウラじゃぱんに存在し続けているはずである。
マンションのファサードを引き剥がせば、きっと現れる。


「この世の限り」椎名林檎